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バレンシア教室のあるバレンシア、トレンテを中心にスペインらしい(?)
楽しい、時には真面目なごくごく身近な日常のニュースを隔月に一度お届けします。
遠く離れた皆様に少しでもバレンシアの温かい雰囲気を感じて頂けたら幸いです。

【2003年5・6月号】
日本も連休シーズン到来ですね!スペインでも4月中旬~5月頭にかけてが連休シーズン。 旅行にでかける人や近郊の海や山で過ごす人々など、それぞれの連休を楽しんでいる人で溢れています。 海岸では早々と海水浴を楽しむ人々もいました。早くも夏の足音が聞こえ始めたバレンシアです。 (バレンシア在住 柳川佳代)

バレンシアの春
「2003年・火祭り LAS FALLAS」

今年のバレンシア「火祭り」も賑やかに3月19日に無事終了しました。 例年なら、この時期日中は夏のような気候なのに、今年はクリスマスが戻ってきたかのような寒い寒い火祭りとなりました。見物人も民族衣裳をまとった人々も、寒さに耐えた火祭りでした。おかげで今年はホットチョコレートの屋台が繁盛していたかも?
毎年このページでご紹介していますが、火祭り期間(3/1~19)には数分間の爆竹ショー「MASCLETA」が、今年も連日行われました。地響き、空が煙りで染まる程の大迫力。火祭り本番ではない3月1日~でも、連日多くの見物人がこの「MASCLETA」見たさに、バレンシア市役所広場に集まります。地元の人によると、日によって爆竹ショーの良い悪いがあるらしく、終了後は「今日のは点火のタイミングが悪かった。煙りが多すぎた…。爆竹に迫力なかった」等MASCLETA談義が始まります。ちなみに今年は3月16日のMASCLETAが最高!だったらしい。と新聞にも 記事が載っていました。

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fallas2 この写真のように多くの見物客が集まりました。今年の火祭りは暑くはなかったとはいえ、MASCLETA開始を待つ時間は大変。周囲には救助隊が待機して、気絶者が出る度に敏速に救助にあたっていました。
この時期当然のように市役所広場周辺のホテルはすべて満員。また某会社ではMASCLETA 見物の為、広場前の1部屋を年間でおさえ、特別なお客様や重役などを接待。もちろんこの部屋にはウェイターもいて、その上飲み放題、食べ放題、生ハム足1本も有り。今年は幸運な事に私もこの特別室に招待して頂き、極楽気分でMASCLETA見物ができました。
「Plaza del Na Jordana地区/張り子人形"今年の1等賞"」 今年はPlaza del Na Jordana地区の張り子人形(制作費198,334euros(約2600万円))。が1等賞を受賞。自然をテーマにした美しい作品でした。基本的に順位は投票によって決まりますが、最近では政治的云々などによる公平でない審査…とも言われており、自信作が入賞しなかった為に、審査員に対する抗議の張り紙を掲示した某地区の物もありました。ちなみに今年は50周年の特別な火祭り。この地区は記念すべき年に1等賞で飾りたかったのかも。
毎年、火祭り開始とともにスペイン全土に春が訪れるはずですが、2003年の火祭りは寒い中終了しました。
「聖週間 LA SEMANA SANTA」

今年は4月13日から20日にスペイン全土で聖週間、キリストの復活祭が行われました。「今年は」と説明しましたが、実は聖週間期間は毎年異なります。その年の始め1月1日より数えた、3回目の満月の日曜日から始まり、次の日曜日(1週間)までが聖週間に当ります。ちょうど毎年3月か4月になります。 歴史的な意味で説明すれば、キリストがエルサレムに入った日から復活の日曜日までの1週間が「聖週間 LA SEMANA SANTA」となります。聖金曜日/受難の日は全土で休日、聖木曜日は多くの州で休日となります。バレンシアではこの木曜日から多くの人々が連休となり、また小学校でも1週間以上のお休みとなります。
始めの日曜日は「DOMINGO DE RAMOS」と言い、その晩から毎晩各地の教会からキリスト像、マリア像のみこし行列がオリーブの木をまいた通りを練り歩きます。これは最後の日曜日の午前中まで繰り返し行われます。もちろんバレンシア教室のあるトレンテでも、扮装した人々の行列が街を練り歩きました。特にセビージャ、クエンカ、マラガ、バジャドリッドの「聖週間 LA SEMANA SANTA」は、規模も大きく見ごたえがあるものとして有名です。
聖週間の期間中は、遥か昔から肉を禁じられていて、一般的には家庭で肉を食せず、その代わりにタラのフライ、コロッケ、パン粉、パセリ、卵の団子、日本で言えば「すいとん」のような野菜たっぷりのスープPOTAJE等を食します。この時期どこのスーパーでもタラの塩漬けが山盛りで売られ値段も高くなります。もちろん現在では、全ての家庭でこの習慣が実行されているわけではありません。連休シーズンのこの時期は、レストランも、マクドナルド等のファーストフード店も、どこも賑やかでした。また4月20日、聖週間最後の日曜日の翌日には、家族そろって屋外で午後のおやつを食べる習慣があります。その際には写真のようなパンを食べます。最も代表的な「MONA(モナ)」、「PAN QUEMADO(パンケマード)」。「MONA(モナ)」は動物等の形をしたかわいいパンの上に湯で卵がのります。最近ではおまけ付のチョコレートの卵がのっているものもあります。卵を食べる時には友人等の額で卵を割るのが習慣で、これがけっこう力いっぱい額にあてないと割れません。はっきり言って痛いです。「PAN QUEMADO(パンケマード)」は円形のグローブ大の大きさのパンの上にクルミ、砂糖がのっています。これはちぎってホットチョコレートにひたしながら食べるのが習慣です。
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semanasanta2 4月28日はバレンシアの聖人の日で、バレンシアは祝日。この日にも家族で屋外にて午後のおやつを楽しむ習慣があります。この時に、どこの家庭のお母さん達も、上で紹介したパン「MONA(モナ)」、「PAN QUEMADO(パンケマード)」、ホットチョコレートを準備し持参します。まず子供達におやつを食べさせ、その後子供が遊んでいる間に母親や大人達がおやつとおしゃべりを楽しみ、日毎に日没が遅くなったバレンシアの連休の午後を楽しみます。ゆったりとした時の流れを感じますね。この時期子供達は、日本のお正月に凧上げや羽子板をするように、縄飛び、凧遊びをするのが伝統となっています。
この聖週間の連休中は、宗教的な意味よりも、一般的には日が長くなった春を家族でゆったり過ごす週間のように感じます。小学校は4月30日から再開ですが、5月1日木曜日は労働の日で祝日。日本のGWのようにスペインでも春の大型連休シーズンとなり、多くの人が近場で、または旅行等で連休を楽しみます。 この連休を期に本格的な春の陽気になり、日中の気温も30度近くまで上がります。そして6月中旬には夏の始まりを告げる祝日があり、小学校等は長い長い夏休みに入ります。